照度測定

KMKa2011-05-26

非常勤講師をしている某J美術大学で、学生に身近な環境を観察・測定することをやっています。今年は震災後の節電意識が高いので、学生も意識が高まっていたようで、興味深く測定していました。その中で、授業をやっている教室の照度測定を行いました。教室は北側採光の窓に面していて、講義をやっている間は、パワーポイントがみえるように暗幕カーテンを閉めています。天井高さは3m弱で、照明の設置されている高さは、およそ2.5~2.6mあたりだと思います。残念ながら当日は曇天で、測定時間も夕方4時ころだったので、北側の安定した太陽の光を十分利用できる、という環境ではありませんでした。
1枚目は、暗幕を閉めて、照明を全灯した場合、教室の真ん中あたりでの机の上の照度はおよそ800~830lxでした。照明を半分にすると、360lx程度になりましたが、講義を受けるような場合は、学生は明るさに問題はない、と言っていました。カーテンを開けた状態では、120lx程度しかありませんでしたが、これは測定条件があまり良くなかったためで、晴天の日中であれば、窓からの光は十分だと思います。ただ、窓からの光は室奥にまでは十分届きませんので、照明器具で補足する必要があります。
JISが推奨している照度基準というものがあります。学校の教室、実習室などは、200~750lxとされており、写真を比べてもだいぶ明るさの範囲が広いです。製図室は300〜1500lxで、これもずいぶん範囲が広く、測定した部屋は作業室も兼ねているので、照明による明るさには問題はないですが、講義で使う場合など、作業内容によって、照明器具をこまめに使い分けることを意識するのが大事です。また、そのためには、スイッチの系統をきちんと計画することが大事です。この教室は、縦方向と横方向にいくつか分割されていて、窓際だけ消す、前だけ消すなど、照明の点灯範囲がきちんと使い分けられるようになっていましたが、他の大学の教室などでは、そういった系統わけが使い方にあっていないこともよくありました。
これは住宅の照明計画でも当てはまることで、同じ部屋の中でも窓際と室奥のスイッチを分ける、調光スイッチにする、全般照明は暗めにして手もとスイッチで必要な部分だけ明るさを確保する、など色々な手法があります。家庭での電力消費は、「エアコン」「冷蔵庫」「照明」が主です。これからの季節は、日が長くなりますし、照明器具の発生する熱で室内が熱くなるのを防ぐ、という点で、照明を消すというのは、トータルで有効です。ちなみに、我が家の天井照明(蛍光灯)部分とそのまわりの天井の温度は、38.1℃と23.9℃で、およそ14℃の差がありました。照明の使い方を上手にして、これまでの明るさを見直してもいいかもしれません。(MK)