武相荘

KMKa2011-04-14

先日武相荘に行ってきました。ご存知の通り、白洲次郎・正子夫妻がお住まいになっていた住宅で、現在は一般公開されております。この住宅は、鶴川村の農家の民家を、生活に応じて室内を改修し、様々な工夫がされています。例えば、民家の象徴である広い土間だった部分には、床暖房が打ち込まれたタイル敷きの広間になり、また二軒の古民家の間には食堂が増築され、正子さんが執筆活動に専念した書斎が下屋として一番奥の間に増築されています。「田の字+土間」という典型的な民家の平面を工夫して自分たちの生活にあわせて手直ししていったのでしょう。そこにはいわゆる商業的な「古民家調」という安易なイメージではなく、奇を衒わない生活に密着した空間を体験できます。
また、住宅内部にはご夫妻愛用の陶器や小道具が展示されています。そのなかには、本来の使われ方とは違う使われ方をしているものもいろいろとあります。物を再利用したり、捨ててあったものを他の使い方をするというのは、今で言う「エコ」的な考えにつながるのかもしれませんが、ここで感じられるのはそういう次元以前の、身の回りにあるものを大事にし、誰かにとっては価値のないものが他の人にとっては価値がある、というような「再発見」の喜びでした。昨今の「エコ」は、「抑制」し、「節約」し、と抑え込む発想が強くて反発する人もいると思いますが、今まで余分な状態やものの使い方を整理して、本当に必要な分だけを工夫して使うことが本来の「エコ」の発想なのではないか、ということを改めて実感するよい機会となりました。(MK)