ピアノ・ノビーレ

私が今住んでいる家の居間は2階にあります。通常の間取りですと1階に玄関、居間があって、2階に寝室や風呂があることが多いのではないかと思いますが、この家の場合は1階が寝室・風呂、2階が居間・キッチンになっています。

イタリアのルネサンス期の邸宅では、居間などがある主階(ピアノ・ノビーレ)が2階にあることが多かったそうで、この家の設計者もそれを意識した、などと言っているのですが、要は1階の目の前に隣の建物が立ちはだかっていて、昼間の時間を過ごすことが多い居間にあまり日射が入らないため、2階に配置したようです。

居間は1階がよいか、2階がよいか。もちろん、ケース・バイ・ケースの状況によって違いますが、一般的にもそれぞれいいところがあります。
1階の居間: 玄関に近いため、人が来たり、家族が帰宅したりなどの様子がすぐわかる。
       食料などの買出しに行ったとき、階段を上らなくてもキッチンに行かれる。
       お客さんなどをもてなすパブリックな部屋が下で、寝室などプライベートな部屋が上階というふうにはっきり区分される。
2階の居間: 一般的に日射が入りやすいので明るく、見晴らしがよい。
       バルコニーなどがあれば、居間とバルコニーを連動させることができる。

上記の特徴は、相手方には短所となりえるのですが、それもいろいろな工夫でカバーできるものもあります。
結局は各々のライフスタイルによるのだと思うのですが、定石にこだわらず、様々な可能性が考えられると思います。(KM)