大きなダイニングテーブル

KMKa2010-12-22

最近、家具の寸法をよく考えます。住宅は様々な家具が使われますが、何といっても生活の中心はダイニングテーブルだと思います。設計をするときに、よく「リビングは10畳以上」とかリビングについては具体的な広さやソファの配置の希望をうかがいます。でもダイニングについてはあまり具体的な希望が少ないような気がします。そんなとき、ダイニングテーブルの大きさ、というのを想定するのがいいのではないかと思います。
住宅でダイニングテーブルというのは、ただ食事をするためのテーブルではなく、子供が宿題をやったり、新聞を読んだり、家族会議をしたり、親が子供を叱ったり、テストを見せたり、アイロンをかけたり、とにかくいろいろな生活行為が行われる場所であり、特に子供が小さい頃には家族が一番長く時間を過ごすスペースなので、小さなテーブルで食事ができればいい、というものではないと思います。長さは短くても2mくらいとれると、家族がいろいろなことを同時に行えるような受け皿になるのではないかと思います。3月まで勤めていた大学の研究室には、長さ4mの大机があって、25人くらいが集まってゼミをやるときもあれば、数人がおひるごはんを食べている横で誰かが模型を作っていたり、コーヒーを飲んで休憩している人の横で建築雑誌を見ている人がいたり、と好き勝手に机によっていろいろな事をしていました。そうすると、お互いがやっていることに意見をいったり、話をしたり、ということが自然に行われていました。
4mの机というのは、よほど大邸宅出ない限りはまず無理です。特に小さな住宅では、ダイニングが隅に追いやられる場合がありますが、スペースに余裕がない時は、むしろリビングをやめて、ダイニングリビングをつくるほうがいいのだ、と思います。食事は家族にとって一番大事なコミュニケーションの場でもあり、ダイニングテーブルが大きければ、食べる時間がそろわなくても、食べている横で子供が宿題をしたり、本を読んだりすることができます。戦後のリビング主義が住宅を支配していますが、「食育」の重要性が見直されている今、ダイニング主義というのもいいのではないかと思います。(MK)