ポルトガルの建築と装飾タイルAzurejos(2)

KMKa2010-12-07


以前、ポルトガルの装飾タイル(アズレージョAzurejos)の紹介をしました。ポルトガルの建築では、装飾タイルはとても一般的なもので、外装、内装ともにとてもよく使われています。教会では、宗教画が描かれた壁画のようなタイルの装飾がよくみられます。幾何学模様描かれたタイルの繰り返しで、壁や柱を覆う「カーペット」のような貼り方をしてある内装もよく見かけます。日本では、タイルの使われる場所は、外壁や水廻り、キッチンなど、比較的特定の部分に使われますが、ポルトガルの建築では、タイルはもっと自在に使われています。いくつか写真をお見せします。1枚目は、アヴェイロ(Aveiro)で偶然入ったレストランの内部です。キッチンの裏側からカウンターが青いタイルで覆われていて、しっかりインテリアの主役として主張しています。まるで壁画やテーブルクロスのようです。2枚目、3枚目は現代建築で、1枚目は、ポルトガルを代表するAlvaro.Siza.Vieiraの作品、マルコ・デ・カナヴェーゼスMarco de Canavesesにあるサンタマリア教会です。シザの作品はいくつかみましたが、教会などで使用されている青や黄色の伝統的なパターンが描かれたタイルを使用されていることはほとんどなく、白やベージュといった無地のタイルがほとんどでした。3枚目は、OMA設計のCasa da Musicaの中のVIP Roomです。ここでは、伝統的な青い装飾タイルが壁・天井を覆い、非常にゴージャスなインテリアに仕上がっています。OMAは伝統的なポルトガルの装飾要素を現代建築の中に、一つの内装材として他の内装材と同じような意識で使っています。同じタイルですが、伝統的な使われ方、素材は同じでも装飾的な模様を排除して現代建築に埋め込んだり、逆に意図的に装飾性を主役にしてしまう使い方など、いろいろなデザインの可能性を感じました。
このように、ポルトガルではアズレージョ(装飾タイル)は非常に一般的に使われる仕上げ材です。タイルは熱容量が大きいので、蓄熱材として非常に有効な材料です。最近のパッシブデザインでは、冬の日射取得は暖房エネルギーの削減が見込まれるということで、住宅内部に蓄熱部分をいかに作るか、ということがデザインとして求められています。ポルトガルでみたような、タイルによるいろいろなインテリアの可能性とパッシブデザインをうまく結びつけることができれば、パッシブデザインを視覚的に面白い装置としてインテリアを作ることが出来ると思います。(MK)