*夜桜能

KMKa2010-04-02

靖国神社で催された夜桜能を観にいってきました。靖国神社の境内にある能楽堂で演じられる薪能で、始めに火入式が厳かに行われ、その後、舞、狂言、能が演じられました。靖国神社能舞台は、都内でもかなり古い舞台の一つだそうです(創建は明治14年東京の芝公園に建てられたものが明治36年靖国神社に移築された)。桜の名所だけあって、舞台の周りは満開の桜の木に囲まれ、客席が設置された頭上には満開の桜の枝が屋根のように覆いかぶさり、桜の花越しに舞台を観る、というとても贅沢な舞台でした。薪能は屋外で演じられるため、周囲の交通の音などがうるさくて舞台に集中できない、とか、演出が乱されるとか、好まれない方もいらっしゃると思います。実際、昨日も開演する直前まで上空をヘリコプターが旋回してかなりうるさかったのですが、私は逆にその周辺の日常の音や木々のざわめく音などの様々な音が舞台に重なり、その瞬間だけ観客と舞台が周辺の環境と一体となっているような感覚で、室内の舞台では味わえない開放感と瞬間のライブ感はなんともいえない心地よさを感じます。ただ、席が遠かったり、周辺の音が混じったりして、能や狂言の所作がわからないとなかなかストーリーを追うというのは難しいかもしれませんが、友人曰く、「ストーリーをおったり、完璧な演出を見たいのであれば室内の能楽堂で見ればよくて、四季の変化や瞬間の風を感じたりする「場」を味わうのが一番」で、私もそれに同感しました。昨日も最後の能「三輪」の中で、三輪明神が舞っている最中に突風で桜の木が一斉に揺れたりして(ちょっと神がかり的ですが。。。)。。(MK)