スケッチ

KMKa2009-08-01


図面描きから、プレゼンテーション用資料まで、何から何までコンピューターを使ってやることがほとんどになってしまうと、かつては大好きだった手でスケッチすることをどんどんしなくなっています。9月からは工学院大学の1年生に手描きの製図法などを教えて「手で描くこと」の重要性を話すのに、自分がやらなくなっていては、どうしようもない、と思い立ってスケッチブックを引っ張り出してきて、身近なものから描いてみることにしました。

手というのは、やらなくなると随分なまるものですね。私は左利きなので、字は右手で書いても、絵は左手で描くのですが、最近、左手を使っていないのか、なかなか思うように描けません。でも、「描く」ことは「見る」ことでもあって、描こうと思って対象物を見ていると、いろいろ気づかなかったことが見えてきたりします。静かにそういう時間を過ごす喜びを思い出しました。目の前のもののことだけでなく、手を動かしているとまた違った思考が生まれてきます。学生時代から「手で考える」と言っているのですが、かなり初期の段階でスタディ模型を作ったりするのも、完成形が見えてなくてもまずは作ってみることで、思わぬ解答が出てきたりするからだと思うのです。

1年生の製図の授業を担当していらっしゃる、N先生のようにささっと、すばらしいスケッチができたらどんなに楽しいだろうと思いながら、自分の下手さに辟易としつつ、やはり絵を描いているときは、とても楽しいのです。下手でも続けていけば、多少うまくなるかもしれないので(確か、ルイ・カーンもそのようなことを言っていましたっけ。)これからも暇を見つけて手を練っていこうと思います。

さて、今日の対象物は、うちの子供です。熱を出してしまったせいで、行きたかった見学会に行かれなくなってしまったので、その代わりに寝ているのをいいことにモデルになってもらいました。(KM)