二子玉川マンション改修工事

KMKa2009-02-14

二子玉川にある築40年近いマンションの改修工事が終了しました。2LDKだったマンションの壁を一部取り払い、その代りに引き戸を取り付け、ダイニング・リビングと個室を一室にしました。
もともとリビング・ダイニングは長方形の平面で、南面する長辺方向に開口が大きくとられているため、部屋の方向性が一方向に限定されていましたが、今回の改修によって、視線や動線がL字に広がり、実際の空間以上の広がりを得ることができました。
引き戸を開けるとリビングの南側の開口と西側の開口が連続し、周辺の景色が一望でき、非常に開放的な空間となります。マンションに限らず戸建住宅でもそうですが、限られた面積をより広く感じるには、視線や動線に選択性を与え、いかに多方向へ空間の広がりを感じることができるようにするか、というのは大きなポイントだと思います。また視線や動線といった問題は、一見物理的な条件のようですが、単に生活を便利にするだけでなく、家族の間も取り持つ重要な計画ポイントです。
また今回の工事では、改修前にすでに造り付けの壁面収納があり、壁を取り払った部分に取り付けた引き戸は、その既存の家具の色と同色で塗装することにしました。改修前後で異なる内装材が混在するのを避け、あえて既存の状態に同調させることで、違和感のない一体的な雰囲気とすることを意図しました。歴史的な建造物の改修工事では、あえて既存部との差異を明確にし、その対比にデザインの重点が置かれることも多いですし、その違いを表出させることが重要である場合も多いと思いますが、マンションや民家などの改修では、これまで住まわれてきた状態と同調させ、違和感なく自然にまたもとの生活に戻ることができるようにする、というのも一つのやり方だと思います。
もうすぐこちらでの新しい生活を始められるのですが、ちょうど外は春を迎え、部屋の中から開口を通して、花や新緑を楽しんでもらえたら、と思います。(MK)