ポルトガルの教会建築の装飾を代表するものに、以前にもブログで紹介したAzulejo(アズレージョ)と呼ばれる装飾タイルと、もう一つTalha Dourada(ターリャドラウダ)と呼ばれる金泥細工の装飾があります。Azulejoは教会以外でも街中で歴史的に価値のあるものから現代になってつくられたものまで様々見かけますが、Talha Douradaは教会の内部でのみしか見られません。Talha Douradaは石造の壁の上に施された木の彫刻の上に金箔を貼ったもので、かなり繊細な彫物の上に隙間なく金箔が貼られ、見た目はかなりゴージャスです。それもそのはずで、このTalha Douradaは、ポルトガルがブラジルで金を発見し、大航海時代に大量に輸入し、教会の内装に使用したとのこと。つまり、金そのものがもつ輝きと、ポルトガル大航海時代の繁栄を象徴するものとして、現在でも輝きを放っているからです。中でもポルトにあるIgreja de S. Francisco(サン・フランシスコ教会)の内部は至る所しつこいぐらいにこのTalha Douradaで覆われ、中に入った瞬間圧倒され、その時代の教会の威光がいかに大きかったかということを実感します。残念ながらここは内部の撮影が禁止なので、その輝きを伝えられませんが。。。ポルトガルの他の地域の教会でも、Talha DouradaとAzurejoの組み合わせによって内装された教会はたくさんあるので、他の教会の写真を紹介します。教会によって両者の使い方は様々ですが、ポルトガルの教会には欠かせない装飾です。しかしこの両者はともに高価なもので(Talha Douradaはもちろんですが、Azulejoもすべて手描きタイルなので。。)、その装飾の割合には教会の繁栄の具合が表れているわけです。しかし現代ではこのような高度な技術を必要とし、時間もかかる装飾はなかなかできないとのこと。ポルトガルにお出かけの際は、ぜひ一度ご覧ください。(たぶん他の国ではほとんど見かけることができないと思います。)
ついでですが、もう一つ気になったことは、ポルトガルカトリックの国で教会内にはいくつもの偶像があります。この偶像はかなり具体的な描写で多彩に塗装され、そのまわりをTalha Dourada(金箔)が囲っているのをよく見かけます。日本では仏像が昔は金で塗られ、仏像を囲むお堂が多彩に塗装されていました。それぞれ囲む、囲まれるという関係は同じでも、その装飾の関係は逆転していて、その意味するところの違いが宗教感の違いなんだろうなあ、ということをふと思いました。(MK)