「斉藤助教授の家」見学会

KMKa2008-05-23

清家清先生設計の「斉藤助教授の家」が取り壊されることになり、少し前に解体前最後の見学会が行われました。なかなか普通は見ることのできない作品であったこと、最後の見学会であったこともあり、当日は400名ぐらいの見学者があったそうです。
清家先生の作品は「建具と柱」で作られているといわれていますが、「斉藤助教授の家」はそれを最も純粋に感じることのできる作品の一つだと思います。建具を開け放したときの内部から外部への連続性、その連続性を規定する床と抑制された天井による圧倒的な水平性、これらにより得られる空間の開放感と緊張感は絶妙です。この住宅を見るたびに感じることは、建具枠の納まりやぎりぎりの屋根勾配、端部の張り出し、ずれた柱など様々な部分にみられる構造から細部にいたる空間的な操作は、通常の施工の常識を少しだけ超えた納まりや材料の使い方に対する技術的な工夫であり、それらが決して奇を衒おうとして行ったものではないこと、だからこそそこにいる人が気負わずにフィットできる場となっているのだろうということです。そういったバランス感覚を大切に設計していきたいと改めて感じました。